中受のGHG

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首都圏の中学受験、公立中高一貫校の受検、勉強法、国語、社会についてのブログ

2017年度 都立中高一貫校の倍率について

 都立および千代田区立の中高一貫校中等教育学校、併設型)の志願者状況発表が1月20日に出されていました。

やや遅ればせながら、ここ数年の推移をもとに概観を書いてみます。

 

 都立10校、千代田区立九段倍率推移

  定員 2017 2016 2015 2014
小石川中等
(一般枠)
男子 79 6.6 6.3 6.0 6.8
女子 80 5.9 5.3 4.4 5.1
武蔵高附属
男子 60 4.7 5.1 5.3 5.0
女子 60 4.2 4.3 4.0 3.9
両国高附属
男子 60 6.4 8.1 8.4 8.4
女子 60 7.3 8.1 8.3 9.1
大泉高附属
男子 60 6.0 6.1 6.2 7.0
女子 60 7.5 7.9 8.1 8.6
富士高附属
男子 60 5.1 4.7 4.6 5.3
女子 60 5.8 4.8 5.6 5.6
桜修館中等
男子 80 5.3 5.7 5.8 7.5
女子 80 7.1 6.9 7.7 10.0
三鷹中等
男子 80 6.1 6.4 7.0 7.4
女子 80 6.1 6.6 6.9 6.8
南多摩中等
男子 80 4.5 4.8 4.8 5.5
女子 80 5.4 6.1 6.1 6.9
区立九段
(区外)
男子 40 7.6 6.1 10.8 11.6
女子 40 9.9 9.0 6.0 6.8
立川国際
男子 65 5.0 4.3 5.1 5.3
女子 65 6.3 6.5 7.3 6.6
白鴎高附属
(一般枠)
男子 72 5.4 4.8 5.5 6.3
女子 72 7.7 8.1 7.5 8.3

 

 ※2014年から2016年は実質倍率、2017年のみ応募倍率

※赤字は前年より上昇、青字は前年より下降

※小石川、白鴎の特別枠、および区立九段の区内枠は省略

※小石川、白鴎の募集数は「特別枠の入学手続き者を差し引いた数」のため、現時点の応募数から推定値で算出

 

概観

都立10校一般枠の全体倍率は、6.34倍(2016)→5.94倍(2017)へ推移し、ここ数年間の応募者減少傾向は止まっていません。

それでもまだまだ高倍率ですが、さすがに4倍台ともなると受かりやすさに随分と差が出てきます。

 

これが巷で言われる私立高無償化の影響であるかどうか、それはまだ微妙なところではないかと思います。
次年度はさておき、今年度の志願者減少はここ数年の流れの延長線上にあると見た方が適切かと思います。
つまり、都立中高一貫も開校から10年以上が経ち、学校ごとの色がはっきりしてきたこと。誰もかれもが受ける学校ではなくなってきたことが主因でしょう。

学校ごとの大学合格実績に差ができ、それぞれの序列が固まり、それに応じて受験者層がほぼ固定化してきています。今後は、他の私立中のように隔年現象を見せつつも、志願者数は安定していくのではないかと思います。
私立無償化がどれくらいインパクトのある制度になるかにもよりますが。


さて、志願者を増やした学校を見ると、小石川中等、富士、桜修館の女子、区立九段、立川国際の男子、白鴎の男子です。

富士、桜修館、白鴎の上昇は昨年の減少の揺り戻しで、隔年現象のように見えます。
小石川は都立中トップとしての位置を確立し、評価が高まっていること。あとはやはり立地がものを言います。武蔵も進学実績では小石川に次ぐ実力があり、一時は拮抗していたのですが、交通の便の良さではかないません。広い範囲から多くの優秀な受験生を集められる点が大きいでしょう。
九段も同じくで、ここはもともと大変な人気の学校です。大学合格実績は正直言ってパッとしませんが、日本の中心に所在するからこその教育は他に代え難い魅力があるのでしょう。昨年はある程度緩和したので、今年はその揺り戻しと見えます。

 

一方、倍率が緩和した学校は、武蔵、両国、大泉、桜修館の男子、三鷹南多摩、立川国際の女子、白鴎の女子です。
とくに両国が大きく緩和していますね。もともとここ数年8倍台の高倍率だったので、やっと落ち着いてきたと言ってもいいですし、白鴎の女子もそうです。

と、ここまで倍率推移についてああだこうだと書きましたが、表下の※にもあるように、今年の数値は受検者確定以前の応募倍率です。
2月1日〜2日の私立受験の結果によって、都立を受けない選択をする受験生も出てくるでしょうし、そうするとある程度の変動はありえます。
とはいえ、先ほども書いたように、都立中受検はすでに、「だれでも合格を夢見られる一発チャンス」ではなくなり、実力の拮抗した本気層の間の勝負となってきています。いくつかの例外を除き、合格ラインが下がることはあまり想定できないでしょう。

 

入試直前数日の勉強はどうすべきか

 

適性検査というのは、教科の枠にとらわれない総合的な力を試すもので、多様な出題がなされます。毎年新傾向の問題が出てくるので、「見たことのない問題がいきなり出た時の対処」こそが重要です。

以前、私立の方の記事では、「新しい教材には手を出さず、これまでやり込んだ教材を繰り返すべき」と書きましたが、適性検査の本当に直前期においてはむしろ初見の問題をやるべきです。

そこでおすすめなのが、京都府京都市で今年度行われた公立中高一貫入試の問題を解くことです。
京都では1月14日に入試が始まり、すでに合格発表まで終わっています。
その、「やりたてほやほや」の入試問題がネットに公開されています。

 

下記のリンクから京都新聞のHPへ飛びます

京都府立・市立中適性検査問題

 

 

京都府立の学校は3校ありますが、ある程度共通の問題を使用しています。


都立対策でおすすめなのが、なんと言っても「京都市立西京」です。
問題の傾向、量ともに都立に近く、問題レベルは同程度かやや高めです。
区立九段なら、府立の検査Ⅰが近い傾向で出題されていますから、そちらも解くといいでしょう。

 

適性検査の得点を最終的に左右するのは、次の2点です。

  • どの問題が「解ける問題か」を見極める目
  • 問題が何を訊いているのかを把握する冷静さ

適性検査というのは、どうしても構成上単問数学少なく、必然的に一問あたりの配点が高くなります。
「解けない問題」ではまってしまい、後の方の「解ける問題」で時間不足になるというのが最悪の展開です。
問題全体を見渡し、自分にとって得点できる問題はどれかを判断する目が勝負を決めます。
また、最近の都立は問題をカモフラージュするようになってきました。
どういうことかというと、知識を聞かれているように見えて、よく見ると問題文に答えが書いてある、という按配です。パッと見の印象に惑わされず、冷静に「何を訊かれていて、材料はどこにあるのか」を見極めることが重要です。

このように、都立中高一貫は他県よりさらに「現場感覚」がものを言う割合が高いです。過去問よりは、初見の問題で本番に向かう心の準備をするべきでしょう。

  

 

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