中受のGHG

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首都圏の中学受験、公立中高一貫校の受検、勉強法、国語、社会についてのブログ

模試か入試か 首都圏会場入試のメリットと利用法

中学入試の前哨戦というのか、はたまた最後の模擬試験というのか、人によって位置づけは異なりますが、受験の一幕としてすっかり定着した感のある首都圏会場入試です。

 

首都圏会場入試一覧(抜粋)

 

学校名・所在地 出願期間 試験日 合格発表日 会場
佐久長聖(長野) 12/12〜30 ①1/9②1/10 ①1/12②1/13 慶応大三田キャンパス
土佐塾(高知) 12/1〜28 1/8 1/11 早稲田大早稲田キャンパス
秀光中等(宮城)

12/1~1/5

1/9 1/11 青山学院大青山キャンパス
長崎日大(長崎) 12/8~1/5 1/8 1/12

日大理工学部御茶ノ水

日大生物資源工学部(藤沢)

函館白百合(北海道) 12/12〜26 1/8 1/11 TKP市ヶ谷ビル
北嶺(北海道)

12/1~19

1/8 1/11 TKP東京駅日本橋カンファレンスセンター
宮崎日大(宮崎)

12/1~1/7

1/9 1/11

日大文理学部(下高井戸)

日大経済学部(水道橋)

長野県の「佐久長聖」や高知県の「土佐塾」が、首都圏会場入試のパイオニアとして有名ですが、近年多くの学校が進出してきています。

寮のある学校は全国規模で生徒募集を行えるため、人口の多い首都圏や近畿、名古屋圏を主戦場にして、「お試し受験競争」を繰り広げるわけです。それらの学校は、ほぼほぼが大学の大教室などの会場を借りて行うため、「会場入試」と呼びならわされています。

 

首都圏会場入試の利用法

 

出願の便利さ

上の一覧にもあるように、もうそろそろ出願が始まる時期です。web出願採用校が増え、大変便利になりました。受けたいと思ったら、アマゾンで買い物をするノリでポチッとすればいいだけです。

このあたり、中学受験界の熾烈な競争原理に思いを馳せざるをえません。

 

1月受験校の選択肢として

東京や神奈川在住の方は、3人に2人は2月1日に第一志望校があると思います。残りの方は2月2日でしょう。

人生で初めての受験が第一志望校というのは、大変に過酷な現実です。

受験というものがどういうものかわからないまま、ひたすらに勉強に励み、いざ受験、となったら、緊張して力を発揮できなかった、ということはままあるものです。

そういうかわいそうな事態を避けるために、1月に入試を受けておく、ということが古くから行われてきました。

その1つめの選択肢が、埼玉や千葉の入試、もうひとつがこの「首都圏会場入試」です。

ここで、2つのメリット、デメリットを紹介します。

 

埼玉・千葉の入試

メリット:地元の生徒も勿論多数受けに来るため、ガチンコの勝負になる。そのため、より本番らしい入試が体験できる。

デメリット:メリットの裏返しで、不合格になる可能性も比較的高い。これで不合格になって自信を失った場合、第一志望校の入試までに回復可能かどうかの見通しが難しくなる。

 

首都圏会場入試

メリット:一定の点数をクリアすれば合格するというシステムが多い(大体は得点率50%ほど)ため、合否が読み易い。また、実際の得点や順位を通知してくれる学校が多いため、模擬試験的な利用もできる。

デメリット:これも裏返しで、不合格になる可能性が低いため、緊張感が生まれにくい。

 

以上から、受験生の性格や状態によって使い分ける方法が良いでしょう。自信がなく、緊張し易い場合は、会場入試がおすすめで、慢心してしまいやすい場合は、ある程度本番の雰囲気を味わせるため、埼玉・千葉の入試で勝負させるのが良いと思います。 

 

そして、そもそも1月入試を受けるべきかどうかということですが、受験した場合のメリット・デメリットを勘案した上で、お子さんに最適な方法を選んでいただきたいと思います。どちらが正解とは一概に言いにくいものがあります。1月を受けておいたから、第一志望で緊張しないなんてことはありませんし、逆もまた言い切れないことです。

よくある不安としては、「入試の直前期に人が集まる場所に行って、インフルエンザのリスクをみすみす高めてしまうのはどうか」ということがあるかと思います。

確かに、そのリスクは否定できません。もちろん、入試に行かなくとも学校や塾、家庭でもそのリスクはあるわけですが。大切なのは、予防注射を打つ、マスクを常につけ、うがい、手洗いをこまめにし、栄養と睡眠をしっかり取って抵抗力をつけることです。

 

 

首都圏会場入試をめぐって 

近年のこういった、いわゆる「首都圏会場入試」は、いろいろと賛否両論があります。

たとえ受験して合格したとしても、合格者のほとんどが進学しないため、名実ともに「お試し」になってしまっており、入試の緊張感を経験しておくという意味での「お試し」なのに、その意味があるのだろうかという疑問。

また、そういう事情を見越した上でも首都圏会場入試をやり続ける学校の目的は、たんなる受験料稼ぎに過ぎないのではないかという疑念。

しかしながら、ある程度の高めの確率で合格を取ることができるため、人生で初めての入試というものを失敗させたくない保護者や受験生の周りの大人たちにとって、入試戦略上たいへん便利であるには変わりないという事情。

 

「受験料稼ぎ」というのは、それはないことはないでしょうが、それだけで学校の意図を決めつけてしまうのは大変失礼なことです。入試というのは問題を作るだけで大変な労力ですし、それを本校から遠く離れた会場で実施し、採点し、という運営まで行うとすると莫大な費用と手間がかかることは想像に難くないことです。受験料収入(会場入試のほとんどは万〜1万5000円程度)でトントンか、ヘタをすれば赤字なんではないかと推測できます。

ではなぜそこまでして首都圏会場入試を行うのか。それは、優秀な生徒が欲しいからに他なりません。

日本の人口の1割は東京都に住んでいますし、3分の1は首都圏に、過半数が首都圏か近畿圏か名古屋圏に住んでいます。ということは、優秀な生徒の半分はそこに住んでいることになります。

会場入試を行う学校のほとんどは、地元で公立頂点校と熾烈な争いを繰り広げています。地元からは優秀な生徒がもう集まらないという危機感こそが、首都圏会場入試を支えているのです。

ですから、会場入試を行う学校は本気で生徒を集めに来ているのです。私たちはそれを承知して、入試に相対せねばなりません。

 

ひとつだけ言えるのは、入試直前期の1月、子供は緊張し、常に肩に力が入っている状態です。毎日家と塾を往復して、最後の一押しとばかりの猛勉強に追いまくられる日々です。そこに、会場入試というのは、受験といえども一種のイベントで、特に合格を勝ち取れば、ずいぶん嬉しそうな顔をするものです。

 

 

 

 

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