入試直前の国語の勉強法 ー残り1ヶ月で5点を積み増すための方法論ー
中学入試直前期、国語はどうやって勉強するものでしょうか。
ともすれば、最後の追い込みの時期。理科や社会の暗記の追い込み、算数の課題に追われて、国語の読解などはついついおろそかになってしまうものです。
確かに、読解力はすべての学習の基礎で、一朝一夕にできあがるものではありません。たがら直前1ヶ月あたりでどう足掻いても、目に見える効果が出るものではありません。
しかし、そうは言っても入試の1教科です。傾斜配点のある学校では、理社よりも配点が高いところも多い。おろそかにできる部分ではありません。
では、あと1ヶ月の勉強の中で、どうすれば効果的に取り組めるでしょうか。
他の教科の足を引っ張らずに、本番であと5点を積み増す方法を提案します。
点がブレにくくなる初動の確認
読解問題に当たる時に、重要になるのが「初動」です。まず何から手をつけるのか、それをしっかりとルーチン化するだけで、大きく失点する可能性を減らすことができます。
有効な初動にはいくつも方法論がありますが、ここでは入試直前期から修正しても効果の出やすいものだけを紹介します。
読み始める前に、まず文章の全容をつかむ
- 小説なのか評論なのか。
- 小説ならば主人公や登場人物はどんな属性(子供又は大人など)なのか。
- 評論ならば大体のテーマ(冒頭に繰り返し登場する言葉)
- 文章の長さ(自分の読書スピードで読み切れるかどうか)
- 傍線部の引かれている位置(文章のどの辺りを注意して読むかの目星をつける)
- 文章の最後に出典が表示されているか。出典、つまり文章のもともとの書名が分かれば、大体のテーマが推測しやすくなります。
問の構成をつかむ
- 問は何問あるのか。(問の数が多い大問ほど読む時間に対する配点が高い)
- 読みながら解く問題と読み終わった後に解く問題の目星をつける。
- 時間のかかりそうな問題に印をつける。(言い換えを求める抜き出しはトラップである可能性が高い)
読み始め方に注意
入試問題となると、どうしても時間との戦いになります。制限時間内にできるだけ全問解き切りたい。
その一心で文章に当たると、どうしても気が焦って冒頭部分を読み飛ばしてしまうことになります。
しかしどのような文章も冒頭に大切な事が書いてあります。小説ならば登場人物のそれぞれの立場や人物同士の関係、場面設定などです。ここをきちんとおさえないと、後の部分をいくら読んでも内容がさっぱり頭に入りません。ですから、文章の冒頭を、あえて時間をかけてゆっくり読むのです。
正答率アップに効く設問への当たり方
設問に取り組む時に、必ず最大限の注意を払わねばならないのが設問文です。
例)
問三 傍線部①「その問題の解決が難しい」とありますが、どういうことですか。六十字以内で答えなさい。
たとえば、上のような設問があったとします。設問文というのは、大抵はこういう構成をしているものです。
- 第一部 傍線部の提示(傍線部①〜)
- 第二部 課題の提示(どういう〜)
- 第三部 条件の提示(六十字〜)
ここで重要なのは、第二部の課題の提示部分です。
「どういうことですか」と聞かれた時は、「詳しく言い換えなさい」という意味なので、傍線部近辺から具体的説明の部分を探すという作業を要求しているのです。そして、「こと」で聞かれているので、答えの最後に「こと。」をつけよ、という意味でもあります。
このように、設問文は解答の方向性、形式の全てを指示していると共に、解答に至る最大のヒントを提示しているのです。ここをもう少し注意して見るようにするだけで、解答の精度は全く違ってくるはずです。
直前期の優先順位と勉強法
上のような方法論を確認しながら、少しずつでも必ず1日のどこかで読解問題を解くようにしてください。時間が取れないときは、30分でもかまいません。文章の読み取りは多分に感覚的なものであり、習慣によって感覚が強化されるからです。逆に言えば、感覚とは使わなければ鈍化するスピードが速いのです。
何をやるか
最も優先的に取り組んで欲しいのは、塾で解いた問題です。塾で解き、解説授業を受けた問題は、塾の教師による解き方が記憶とノートに残されています。
ノートを見ながら解き方を頭の中で再現してください。とくにノートにまとめ直す必要はありません。ただ、「この問題の時はここをまず見て、ここに線を引き、こう検討した」という手順を思い返します。その後に、同じ問題をもう一度解きます。自分が間違えた問題だけでなく、トータルでもう一度です。読解問題というのは、理解度が低い状態でも正解を出せてしまう時があります。正解した問題だからこそ、完全な理解のもとでもういちど解き方を再現しましょう。
過去問について
過去問は重要ではありますが、過去問だけにとらわれてしまうのは危険です。
なぜなら、過去問は当然ながら二度と出ない問題であり、その解き方だけに精通してしまっては、応用力がつかず元も子もなくなるからです。
過去問はあくまでも傾向の把握のための教材に止め、あまり拘泥しないことです。
復習するとしたら、塾の教師などに質問して解き方がわかった問題に限定してやるべきです。要するに、教師の助けがなくても自分だけでその解き方を再現できるかどうかやってみるのです。